パレスチナ問題その二

ユダヤ人差別は今も存在しますか、それとも、それはナチスの崩壊と共になくなったのでしょうか。

先月提議した、なぜイスラエル人の場合とパレスチナ人の場合ではメディアの扱いに際立った違いがあるのかという件は、パレスチナ側が自分達に不利な報道をする報道機関は締め出すので、メディアがパレスチナ側の宣伝機関になってしまっているためですが、実は依然としてユダヤ人差別が存在し、そのため報道機関自身が積極的にイスラエル非難の役割を担っているのです。

アジア人にはユダヤ人差別がないので私達は鈍感なのですが、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなどには今もユダヤ人差別が存在します。差別と言うより敵意と呼ぶ方が良いかもしれません。ユダヤ人を根絶してやるという意識です。それはナチスだけの思想でもなければナチスと共になくなったのでもありません。今年の5月サンフランシスコ州立大学で学生達が"Hitler did not finish the job"と言って気勢を上げ、その後も同大学のウエブサイトでホロコーストを擁護したのは僅かに氷山の一角に過ぎません。今あからさまな黒人差別はありませんがユダヤ人差別はあからさまです。先月も言及しましたが、イスラエルの独立の時アラブ連盟諸国は中東からユダヤ人を根絶やしにすると宣言していました。実は、それは彼らだけの気持ちではなかったし、今も同じです。

なぜパレスチナ問題が解決しないのか、それは、それが多くの人達にとって好都合だからです。

第一に、難民はアラファト氏を始めとする自治政府の人達に必要な存在です。彼らはイスラエルと戦うことによってアラブ連盟諸国、特に大産油国サウジアラビアから莫大な援助を得ています。(そのお金を払っているのは私達です)パレスチナの人々は難民でない人々でさえ混乱のお陰で働けず、35%以上が貧困状態にあり、大人も子供も希望を失って、聖戦で死ねば行けると教えられている天国に憧れています。彼らは自治政府の給付に頼らざるを得ないので自治政府は彼らをコントロールできるのです。そんな中で子供を自爆攻撃に送った家族は見舞金を貰って一挙に大金持になります。しかも彼らは英雄となり、子供達の間で大人気です。アラブとイスラエルが平和に暮らすようになれば、自治政府の人達の存在理由が小さくなってしまうので学校や放送を通じてイスラエルに対する憎しみを煽っているのです。このため、悲しいことに仮にアラファト氏が平和を望み、その動きを示したとすれば、部下に殺され、イスラエルに暗殺されたと宣伝に利用されてしまう状況になっています。

第二に、アラブ連盟諸国にとって難民の存在は必要です。難民キャンプは言わばアウトローの巣です。岡本公三など日本赤軍のメンバーが、難民キャンプでテロの訓練を受けたことはご存知でしょう。周辺諸国は、難民達をキャンプで保護しているという建前で、自国や他国の不満分子をかくまう聖域としているのです。彼らがテロを行っても、自分達は知らないと言えます。さらに、イスラエルを攻撃する時、難民達を先頭に立てて自国の兵の犠牲を少なくすることができます。

なぜいつまでも難民が存在するのでしょうか。例えばベトナム難民などは、アメリカやオーストラリアなど多くの国が引き取って、異民族であるにもかかわらず自分の国の国民として受け入れています。なぜ周辺諸国はパレスチナ難民を受け入れず、何十年もの間彼らを難民のままで放置しているのでしょうか。それは、彼らを難民のままにしておくことに価値があるからであり、難民の痛みは周辺諸国の人達の痛みでないだけでなく、実はパレスチナ自治政府の人達の痛みですらないのです。そうでなければ自治政府の管理する地域の中に140万人(39%)もの難民がいることの説明がつかないではありませんか。彼らは難民管理という形で同胞を支配しているのです。

難民問題が解決しない理由の第三はユダヤ人差別です。先月創世記10、11章からご説明したとおりアラブ人、イスラエル人はセム族、周辺諸国の人達はハム族で、私達がユダヤ人差別と理解しているのは、実はユダヤ人だけでなくアラブ人にも向けられているアンチ・セミティズムです。周辺諸国にとって、これはセム族同士の自滅への争い、積極的に仲裁する理由はありません。これに対してサウジアラビアとヨルダンには同族の問題であり、比較的イスラエルに対して穏健で、解決の努力をしているアメリカに協力的です。

パレスチナ問題には多くの誤解があります。先祖代々住んでいたアラブ人をユダヤ人が追い出したから問題が起きた。イスラエルが西岸地区を占領しているから解決しない。イスラエルの攻撃に対する報復としてテロが始まった。イスラムの聖地エルサレムをイスラエルが独占している。これらは全てパレスチナ側の宣伝(嘘)による誤解です。そして私達は誤解に基づいて判断しています。もし皆さんがイスラエルを悪と思っておられるなら、冷静に見直とれることをお勧めします。

この問題を解決するためには、まず過激な言葉で相手を非難し、憎しみを煽ることを止めなければなりませんが、サタンそれを望みません。彼は偽りの父だから私達が真理を知ることを喜ばないのです。(ヨハネ8章44節)主が再び来られる時、イスラエルは主に立ち返ります。エルサレムは大切な都です。サタンはイスラエルを抹殺することによって主が来られるのを阻みたいのです。真理を求めましょう。真理は私達を自由にします。(ヨハネ8章32節)

片山進悟

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